ヒビ、コトホギ

本の感想とか、日常感じたこととか。徒然変わる気持ちをピン留めするつもりで、毎日を言祝ぎたい。

目に見えるものと見えざるもの

2020年。1個目のブログは映画の紹介から。

 

f:id:easih:20200126004122j:image

https://www.netflix.com/jp/title/80174451

 

年末に、Netflixの「2人のローマ教皇」を見たのです。

ミラノからローマに向かう3時間の電車旅の中で。

 

見知らぬイタリア人と向かい合わせに座りながら、iPad miniの画面で、同行者とイヤホンをシェアして。

 

映画を見るシチュエーションとしてはけして良いとは言えますまいが、エモさはもはや最高潮。

 

ほぼ字幕だったことも幸いして、かなり集中して視聴できたのでした。

 

明日バチカンに行こうというのに、教皇(パパ)のことはほとんど知らない状態だったのだけど、この映画のおかげで、かなりよい勉強のモチベーションができて、見終わるや否や、ずっと歴代教皇についての文献をネットで調べまくるはめに。良い意味で、勉強させられたなぁという感じ。

 

映画では、ヨハネ・パウロ2世のあと、ベネディクト16世の辞任や、初のアルゼンチン出身教皇であるフランシスコの選出の背景、2人が持つ悩みや苦しみ、その理由などが丁寧に描かれていて、カトリックではない私が見ても、とても興味深く、見応えのある内容だった。

もちろん、演出のために、事実としては行われてないことも描かれているし、会話なんてほぼ創造なのだろうけど、それでも、きっとこういうことだったんだろうなと思わせるリアリティをもった作品で素晴らしかった。

 

制作チームの本気が伝わる要素の一番のポイントは、キャスティングだと思う。名優2人が演じる2人のパパが、実際のお2人に非常によく似ている。

 

アンソニー・ホプキンス、『羊たちの沈黙レクター博士のイメージで怖いと思ってたけど、まさかパパ・ベネディクトとこんなに似てるなんて!メイクもあるのでしょうけど、表情の作り方が卓越している。

性格とかも、きっとこうだったんだろうなと思わせる…すごい。

世界に1人、選ばれた立場である重責と、深い孤独。事実にはなくとも最後のシーンが作られたことは、天国のパパも嬉しかったのじゃないかしら。と、思ったり。

 

パパ・フランシスコはあんな朗らかに笑う方なのに、こんな壮絶な過去を抱えていたとは。

アルゼンチンで起きた軍事クーデターのことも、恥ずかしながら寡聞にして知らず。この映画のおかげで調べることができたよ。

 

そんなこんなで、ざっくりと映画で概要をつかみ(もちろん映画として楽しみ)、そのあと気になった単語や背景や人物を片っ端から調べまくり、翌日のバチカン訪問へと相成ったのでした。

 

ちゃんと知識があると、脳の受容体制がちゃんとできているから、得られる情報量が格段に増加して、体験の深化が進むよね。きちんと目に止まるようになるというか。

知識が体験になり、感動が広がって、次の知りたいことが増えていく。

 

これだから旅はやめられないのだわ。

 

そんなこんなで、パパ・フランシスコの大ファンになった同行者が手に入れたパパのピンバッチなど、バチカンの想い出が増えたのでした。

 

 

アルゼンチンも、行ってみたい国に入っているのだけど、もう少し行きやすい環境になるまでは我慢かなー。

まだまだ行きたいところはたくさんある。

今回、カトリックの総本山に行けたことで、旧約聖書にある「約束の地」にもいつか行ってみたいと思うように。今は激戦区の隣だけど…

 

神の存在を同じようにきっと感じているのに、解釈違いで戦争まで起こしてしまう。政治的な理由の方が大きいのかもしれないが、それも含め、人間の精神の未熟さを痛感させられる。

 

でもこんなこと、日本でいつもの暮らしを送る中では考えもしないのだわ。

見える範囲で精一杯。視野は、広げないと広がらない。