ヒビ、コトホギ

本の感想とか、日常感じたこととか。徒然変わる気持ちをピン留めするつもりで、毎日を言祝ぎたい。

心に残る映画はもれなく名作なのです

このところ、本より映画視聴が増えている。

 

今回は、『パラサイト-半地下の家族』の感想を。

 

第72回カンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞した作品。

韓国の格差社会を、コミカルな描写やミステリ成分をまぶしたストーリーで描いていく。

 

社会風刺的な、もっとかたくて悲壮な内容なのかなと思っていたけれど、予想に反して面白く、笑いどころも多くて見やすい作品だった。

 

ネタバレ厳禁!とのことだったのですが

感想を残すには、中核の部分に触れざるを得ないので、この先を読むのはネタバレしてもいい方のみで。。

 

 

半地下の家に住む(=貧困層)一家と、

高台の大きな家に住む裕福な一家。

 

劇中では、韓国経済や文化に詳しくない人間にもわかりやすく、会話と映像でその対称性を浮き彫りにしている。説明的になるとうんざりしてしまいそうな、しかし重要な背景を、冒頭から10分ほどで視聴者に焼き付ける。

 

「計画」を立てて家族揃って入り込んでいく過程は、愉快で思わず応援したくなる。

家族全員が「計画」通りに入れ替わったところで、事件が起こる。

 

思うに、少し調子に乗りすぎるのだ。

政治のせい、格差のせい、その環境にいるせいで色々と上手くいかない。家長である父親は定職についていないし、長男は大学に入れていない。

 

そんな「計画通り」と無縁であり続けた彼らが、

初めて最初から最後まで「計画通り」にうまくことを進めるのだ。

調子に乗っても仕方ないかもしれない。

 

だからこそ「計画外」のことが起きたときに、ボロが出る。

 

最初から、節々にリスクの因子は散りばめられていた。

 

登場人物は、大人から子どもまで、ちょい役から主役まで、すべからく全員がどこかおかしくて、危うさを秘めている。

 

そのすべての危うさを雪だるまのように巻き込みながら、収束へ向かうラストへのスピード感は見ものだと思う。

 

そして、その裏では丁寧に丁寧に、ナニカが、父親の中に降り積もっていく様子が描かれる。

劇中だけではなく、彼の人生通して、もしかしたらずっと降り積もり続けていたのではないかと感じる。

 

ささやかで、だから気にしていなかったソレが、しかし、高台の一家の生活を身近に感じ、体験したことで、より一層、突きつけられてしまうのだ。

 

 

雇い主が妻に対して自分を蔑む言葉を発するのを聞いてしまったとき。

 

土砂降りの中、高台の家から降りて、降りて、降りて。汚水混じりの水が流れ込む自宅から家財道具を持ち出すとき。

 

地下から出てきた男に対して、雇い主がとったささやかな行動を見たとき。

 

彼の中に降り積もりつづけてきたナニカが充満して、粉塵爆発のように弾けた瞬間を、視聴者もともに経験する。

 

事件の前夜、父親が息子に話す言葉。

「計画をするから、うまくいかない。計画がなければ、失敗もない。」

最初から諦めて、計画的な生き方を否定したような。これが全ての根幹のようにも思われて、けど自分の中にもどこかしらある諦めの感情をくすぐり、虚しさと怒りを同時に感じる。

 

 

喜怒哀楽すべての感情を抱かせながら、最後まで心を掴んで離さない感じ。とても面白かった。

 

 

 

この記事を公開しないまま2週間もおいといたら、アカデミー賞もとったわね。アジア初だって。すごい!

 

面白い映画は、映画館でみるのがいいね。。

集中して物語が駆け抜けていく快感を覚えてしまった!